こうしてジャーナリストの手元には、厳選された筋肉質の情報や知識のみが残る。
「そうか。
勝ち残っている住宅会社の条件は、考えていくわけだ。
その結果として、『ビジネスモデル×商品力×営業力』ということに気がついたとき、ジャーナリストは問題の本質にたどり着いたといえる。
きっと良い本が書けるはずだ。
敷金無料型賃貸アパートを売りとしているレオパレス幻や、賃貸経営受託システムを展開している大東建託は、独自のビジネスモデルを打ち立てたことと、そのシステムをCMなどで大々的に宣伝してきたプロモーションと、現場の営業力による勝利である。
一方、積水ハウスは、元々抜群の商品力を備えていたのに加えて、最近は建築条件付き宅地分譲での住宅販売などにも積極的に取り組んでおり、商品力×ビジネスモデルで勝負に出ようとしている。
三井ホームもクリニックまたは、クリニック兼住居という医療系ハウスを得意としている。
このように住宅業界で勝ち残るためには、ビジネスモデルと商品力と営業力のいずれかにおいて、他社よりも際だっていることが条件となるのだ。
この「勝ち残っている住宅会社の条件ビジネスモデル×商品力×営業力」という図式は、もはや住宅業界の常識になりつつある。
五年前の住宅ビジネス関連の本をいくら読んでも、そんなことは書かれていなかった。
知識は本やヒアリングを通じて得ることができるが、認識は自分で考え抜いて、その本質を彫り出していくしかないのである。
ジャーナリストの例に戻れば、ジャーナリストにとって本を読んでインタビューをするというのは、「情報や知識の習得を目的とした勉強」の段階にあたる。
次にジャーナリストは、獲得した情報や知識を元手にして、削ぎ落としたり繕いたり束ねたりしながら、独力でテーマの本質に迫っていくことになる。
この独力で本質に迫ろうとするときのために、普段から「認識力を高めるための訓練」を積んでおくことがとても大切になるのだ。
このように勉強には、「知識量を得るための勉強」と「認識力を高めるための勉強」がある。
何度も繰り返すが、プロにとって「知識量を得るための勉強」は、当たり前の大前提υリ叶利引刈引叫叫寸材弓知っていることは当たり前であり、それ以上を相手は求めている。
そこで必要となるのが、「認識力を高めるための勉強」なのである。
「知識」「認識」から「見識」へと勉強ステージを上げていくけんさんところで「認識」は、研錆を積んでいくことによって、最終的には「見識」にまで高めていくことができる。
「知識」「認識」「見識」の違いについては、『コンサルタントの「解答力」』(PHPのなかで述べたが、本書でもキーワードになるので、もう一度繰り返ビジネス新書)しておきたい。
「大辞泉』(小学館)では、それぞれの言葉の意味を次のように定義している。
知識/知ること。
認識・理解すること。
また、ある事柄などについて、知っている内容。
認識/ある物事を知り、その本質・意義などを理解すること。
また、そういう心の働き。
見識/物事を深く見通し、本質をとらえる、優れた判断力。
ある物事に対する確かな考えや意見。
識見。
要するに「知識」とは、そのことについて知っている、つまり人から与えられた情報ではなく自分のものにしているというレベルである。
「認識」になると、その知識の本質を理解し、自分なりに意味づけることや価値づけることができるようになる。
「見識」とは、ある物事に対してしっかりとした鑑識眼を持ち、ぶれない軸を持って見通すことができる力のことである。
おもしろいのは、知識は「知識量」とはいうが「知識力」とはいわないことだ。
知識は力ではなく、インプットした情報の量で測れるものだということだ。
逆に認識は、「認識力」とはいうが「認識量」とはいわない。
認識を高めるためには情報をインプットするだけではダメで、自分なりの物事を見る力が必要になるということだ。
見識については、「見識量」とも「見識力」ともいわない。
その代わりにつまり見識は量や力で測れるものではなく、その人「見識眼」という言い方をする。
自身の「眼」のように身体化されたものなのだ。
確立された評価軸が自分のなかにあり、その軸によってブレがなく物事の本質を見極められる人のみが、「あの人は見識いまの日本で「見識」の域まで達している人が、がある」と言われるわけだ。
いったいどれだけいるだろうか。
プロとして求められるのは、さしあたって「知識量」と「認識力」である。
この二つがあれば、ビジネスの第一線で活躍することは十分に可能だ。
プロであるのなら、さらに高みを目指したいものである。
研鑓を積み続けることで、いずれは揺るぎない「見識」を自分のなかに得たいものである。
ここまで「プロやコンサルタントにとっての勉強とは何か」について述べてきた。
プロやコンサルタントにとっての勉強は、結果を残すための手段として行なうものだ。
勉強はまず、何を勉強するのかについてのテーマを設定するところからスタートする。
「そんなことは当たり前じゃないか!」と思われるかもしれないが、実は勉強テーマの設定というのは、簡単そうに見えて意外とむずかしい。
毎年正月や年度の初めに「今年の目標」や「今年の計画」を立てる人は多いと思う。
そういうときには、「今年こそはプレゼンテーション能力を磨きたいし、マiケテイング知識も身につけたい。
財務・会計知識も必要だな」というように、勉強したいテーマがあれもこれもと浮かんでくるものではないだろうか。
その全部に、しかも一度に取り組もうとしても無理だ。
「二兎を追う者は一兎をも得ず」となる。
では勉強テーマは、どのように絞り込むべきか。
一つの判断軸にできるのが、「得意分野を伸ばすか?会社の経営を例にして考えるとわかりやすい。
起業したばかりのベンチャー企業は、大手と同じことをやっていてもなかなか存在感を発揮できない。
ベンチャー企業が市場から認知されるようになるためには、商品なりビジネスモデルにおいで強力な特徴をつくる。
すると少々弱点や欠点があったとしても、「なんかあの会社おもしろいよね」ということでお客さんが注目してくれる。
商品が売れるようになり、ブランドも企業の存在価値も社会的に認められるようになるわけだ。
だからベンチャー企業の場合は、まずは得意分野を伸ばすことに力を注ぐべきである。
逆に、ベンチャーが苦手をいくら補ったとしても、単に「これといったセールスポイントがない企業」にしかならないからである。
大手となると、得意分野ばかりを伸ばしているわけにはいかなくなる。
フエラーリのような小さな会社であれば文句を言わないが(むしろトンガっていることがユーザーから求められている)、ヨタや日産レベルになるとそうはいかない。
走行性についても居住性についても燃費についても、すべてにおいてトータルに及第点を取っておかないと、クレームの嵐となってしまう。
だから大手の場合は、弱点を補うことに精力を注がなくてはいけないわけだ。
個人の能力開発においても同じだと思う。
たとえば、「あいつは若いのに、プレゼンテーションがうまいね」という評価が社内で高まれば、重要な会議の場面でプレゼンテーションを任されるチャンスが増えていく。
大舞台を経験することで、さらに強みは磨かれていく。
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